アイルランド民謡:どこか懐かしい感じがするアイルランド民謡の世界へようこそ
ふと冷たい風が頬を撫でたとき、なぜか遠い異国のメロディが脳裏をよぎることがあります。
どこまでも続く緑の丘と、鈍色に曇った空。そして、荒波が打ち付ける切り立った崖。一度も訪れたことがないはずなのに、その音楽を耳にするだけで、私の中にある見知らぬ「故郷」の風景がありありと浮かび上がってきます。
アイルランド民謡――。それは、哀愁と歓喜が織りなす、魂の記憶のような音楽に近いかも知れません。
アイルランドってどんな国?

アイルランドは北西ヨーロッパに位置し、首都はダブリン。人口490万人のうち約4割がダブリン近郊に住んでいます。北アイルランド(イギリス領)とのみ陸上で国境を接しています。
大西洋に囲まれていて南にはケルト海、南東にはセント・ジョージ海峡、東にはアイリッシュ海があります。
アイルランド人は、一般的にフレンドリーで温かく、ユーモアを愛する国民性として知られています。
音楽で、日本人にもなつかしさを感じるアイルランド人ってどんな感じなのか、興味がありますね。
アイルランド人の性格・特徴
- ※「Craic(クラック)」を愛する: アイルランド特有の概念で、楽しい会話、ゴシップ、音楽、冗談などを通じた「楽しい時間」を非常に大切にします。
- おしゃべり好き: 初対面の人とも気軽に世間話を始めるなど、非常に社交的です。
- 謙虚で自虐的: 褒められると謙遜したり、自虐的なジョーク(Wit)を交えたりすることが多く、気取らない(Down to earth)性格の人が多いとされます。
- 家族とコミュニティの重視: 伝統的にカトリックの影響が強く、家族の絆や地域社会での助け合いを重んじます。
※クラックとは:ここでは人を笑わせるジョーク
パブ文化も発達していて、単にお酒を飲むというより、世代を超えた交流の場であります。また、紅茶が好きで、有数の紅茶消費国で、一日に何杯も紅茶を飲む習慣があります。
楽しい国民性のようで、すごく行ってみたくなります。行くと楽しくて長くいたくなる人も多いようです。
アイルランド民謡(アイリッシュ・フォーク・ミュージック)は、単なる音楽のジャンルを超え、アイルランドの歴史、苦難、そして人々の魂を映し出す鏡のような存在です。
その魅力と特徴をいくつか整理してご紹介します。
アイルランド民謡の主な特徴
アイルランド民謡には、他のヨーロッパ音楽とは一線を画す独特の雰囲気があります。
- 独特の音階(ペンタトニック): 5音音階が多用され、どこか懐かしく、日本人の琴線にも触れるメロディが多いのが特徴です。
- 装飾音: 「カット」や「ロール」と呼ばれる、音を細かく揺らす独自の装飾技法が、歌声や楽器演奏に深みを与えます。
- 口承文化: 長い間、楽譜ではなく耳から耳へと受け継がれてきました。そのため、同じ曲でも地域や演奏者によってバリエーションが豊富です。
歌詞のテーマ:光と影
歌詞の内容は、アイルランドが歩んできた激動の歴史を反映しています。
- 哀歌(エレジー): 飢饉、貧困、そしてイギリスによる支配。辛い歴史の中で生まれた、悲しみや故郷への情景を歌った曲が多く存在します。
- 移民の歌: 多くの人々が新天地(アメリカやオーストラリア)へ渡ったため、別れを惜しむ歌が数多く残されています。
- パブ・ソング: 一方で、パブでビールを片手に賑やかに歌う、明るくアップテンポな飲み歌(Drinking Songs)も欠かせません。
代表的な楽器
アイリッシュ・ミュージックに欠かせない「三種の神器」的な楽器たちです。
| 楽器名 | 特徴 |
| ティン・ホイッスル | 安価で素朴な笛。鳥のさえずりのような装飾音が美しい。 |
| フィドル | バイオリンと同じ楽器ですが、奏法が独特。激しいリズムを刻みます。 |
| イーリアン・パイプス | アイルランド版バグパイプ。肘でふいごを動かす、非常に繊細な音色。 |
| バウロン | 山羊の皮を張った太鼓。独特のバチ捌きで低音のビートを刻みます。 |
日本でも有名な名曲
実は、私たちが日常で耳にしている曲もたくさんあります。
ダニー・ボーイ(ロンドンデリーの歌): 世界で最も愛されているアイルランド民謡の一つ。
庭の千草 (The Last Rose of Summer): 日本では唱歌としても有名です。
春の日の花と輝く (Believe Me, if All Those Endearing Young Charms): 永遠の愛を歌った美しい旋律。
まとめ:アイルランド民謡は遠い国の音楽だけど、なぜか懐かしい「心の故郷」のような音楽。
「ダニー・ボーイ」のように耳馴染みのある曲から、パブで盛り上がる陽気なダンス曲まで、アイルランド民謡は驚くほど多彩です。私たちの日常に溶け込んでいるメロディのルーツを辿ってみると、新しい発見があって面白いですよね。 次にアイリッシュ・ミュージックを耳にしたときは、ぜひその楽器の音色や、歌詞に込められた物語を想像してみてください。いつもの日常が、少しだけ豊かに彩られるかもしれません。


