日本の楽器【箏、三味線、尺八、笙、笛、太鼓など】日本の伝統楽器について紹介します。

日本の文化に触れるとき、その奥深さに魅了される方は多いのではないでしょうか。美しい着物、繊細な茶道、そして厳かなな庭園。しかし、これらの視覚的な魅力に劣らず、私たちの心を揺さぶるものがあります。それは、日本の伝統楽器が奏でる独特の音色です。琴の優雅な響き、三味線の力強い撥さばき、尺八の深みのある音色…それぞれの楽器が、日本の歴史や人々の暮らし、そして精神性を物語っています。
日本の伝統楽器:音色が語る歴史と文化
和楽器(わがっき)とは、日本で、古来使われてきた伝統的な楽器のことです。邦楽器とも呼びます。
大陸文化の影響を受ける以前の日本固有の楽器としては、和琴(わごん)があげられます。神楽笛(かぐらぶえ)、笏拍子(しゃくびょうし)も日本固有のものと見なされています。
和楽器のほとんどは、大陸から渡来した楽器を基としているが、日本の文化や美意識のなかでそのかたちを変え、独自に完成されていきました。 琵琶(びわ) のように、大陸では失われてしまった古い姿を残している楽器もありますが、三味線、尺八、能管、小鼓・大鼓のように独特な進化を遂げたものもあります。
和楽器は長い歴史の中で宗教用具としても使用されており、現代でも変わらずその役目を果たしています。
たとえば、お寺で、木魚が使用されている(お坊さんが読経しながら、ぽくぽくと叩く音)。などもそうですが、木魚は宗教的な雰囲気を高める目的でお寺に置かれている楽器の一つであります。
ほかにも、神社でよく見る巫女さんがならす神楽鈴や巫女鈴も宗教用具として用いられる和楽器です。鈴には邪なるものを祓う力があると信じられており、鈴そのものではなく鈴の音色に力があると考えられています。
大みそかにお寺でつく、いわゆる「除夜の鐘」である梵鐘(ぼんしょう)など、宗教用具として使用されている和楽器はほかにも数多くあります。さまざまな宗教が広まった日本において、歴史と結びついてきた和楽器は切っても切り離せない縁があったのでしょう。
和楽器と聞くと実際には触れたことがない方も多く、身近なイメージがないという方も多いかもしれません。ところが、こうして考えてみると、和楽器は意外にも私たちの日常に溶け込んでいるのがわかりますね。
日本の伝統楽器の種類
最近、伝統的なものが若者の間で改めて注目を集めていますね。和菓子や古民家カフェ、着物など、どこか懐かしく、同時に新鮮な魅力があると感じる方もいるでしょう。そんな中、忘れられがちながらも、日本の文化を深く支え続けているのが「伝統楽器」です。その音色は、単なる音の羅列ではなく、日本の心そのものを表現しています。
和楽器の種類
下記のように大まかに楽器名を分類して掲載しました。名前だけでなく音色も聴けるようになっていますので、ぜひリンクして聴いてみて下さい。
- 弦楽器:
- 琴(箏): 優雅な音色と雅楽、現代音楽での使用について。
- 三味線: 歌舞伎、義太夫、民謡などでの役割と、力強い撥さばきについて。
- 琵琶: 語り物との関連、その独特の音色と形状について。
- 管楽器:
- 尺八: 禅の精神性との関連、その深みのある音色と奏法について。
- 篳篥(ひちりき): 雅楽での重要な役割、独特の力強い音色について。
- 龍笛(りゅうてき): 雅楽での使用、その美しい響きについて。
- 打楽器:
- 太鼓(和太鼓): 祭礼や儀式での使用、その迫力ある音と視覚的な魅力について。
- 鼓(つづみ): 能や歌舞伎での使用、繊細な音色と奏法について。
※ それぞれの 楽器の音色
【弦楽器】
● 琴➡https://youtu.be/3wvQk57vwHY?si=79NK_WDnK1OFUnP-
● 三味線➡https://youtu.be/m-9bVMKlfJM?si=3sb80VvbNQWYHUDU
● 琵琶➡https://youtu.be/S0AAsZtJdfA?si=U99IJy1sClJukfxH
【管楽器】
●尺八➡https://youtu.be/Sv2je9arNz4?si=Co8PdF_wrGIar6Qg
● 篳篥➡(ひちりき)https://youtu.be/IGK-w5S5zzA?si=CShAOvYeVxsfKpmQ(現代調:アメイジンググレス 時代を超えても素敵です ! !! )
● 龍笛➡https://youtu.be/3D7DvAdGv2Y?si=m2HT2T73EoNu9KGp(現代調:ギターとのセッション素敵です)
日本の楽器と歴史・文化の結びつき
日本の伝統音楽と舞台芸術は、楽器と深く結びついています。それぞれの芸術形式に独自の楽器が使われ、その音色がそれぞれの世界観を作り出しています。
能と楽器
能は、幽玄で象徴的な世界観を持つ日本の伝統芸能です。能で使われる楽器は「囃子(はやし)」と呼ばれ、主に笛(能管)、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおかわ・おおつづみ)、そして**太鼓(たいこ)**の4種類です。
- 能管: 独特の構造を持ち、演奏されると息が漏れるような音を出すため、幽玄な雰囲気を醸し出します。
- 小鼓・大鼓: 打楽器でありながら、奏者の手の湿り具合や締め具合によって音色を微妙に変えることができます。これにより、演者の感情や情景の変化を繊細に表現します。
- 太鼓: 劇の進行や場面転換を司る役割を持ち、力強い音で緊張感や迫力を生み出します。
これらの楽器が一体となって、能の静寂で深遠な世界を音で描き出しているのです。
能ってどんなもの?➡https://youtu.be/RNE60ygYH6E?si=0IpgNPOPiRxOQPob
雅楽と楽器
雅楽は、古代から伝わる日本の宮廷音楽です。その編成は非常に多様で、管楽器、弦楽器、打楽器が用いられます。
- 管楽器: 篳篥(ひちりき)、龍笛(りゅうてき)、**笙(しょう)**が代表的です。
- 篳篥: 力強く独特の音色で、雅楽の旋律の中心を担います。
- 龍笛: 清らかで伸びやかな音色が特徴で、主に中国伝来の唐楽で使われます。
- 笙: 17本の竹管が束ねられた楽器で、和音を奏で、天空から差し込む光のような神秘的な響きを生み出します。
- 弦楽器: **楽琵琶(がくびわ)と楽筝(がくそう)**があります。
- 楽琵琶: 伴奏や合奏の基盤をなします。
- 楽筝: 美しい音色で彩りを添えます。
- 打楽器: 鞨鼓(かっこ)、太鼓(たいこ)、**鉦鼓(しょうこ)**が使われます。
- 鞨鼓: 雅楽の指揮的な役割を担い、演奏全体のテンポを決めます。
これらの楽器が織りなす荘厳で優雅な音色は、雅楽の格式高い世界を表現しています。
※ 笙 以前笙の音色を聴いたとき、美しさに感動しました。ぜひ聴いてみて下さい。
東儀秀樹さんを少し紹介したいと思います。
1959年生まれ。東京都出身。日本の作曲家、雅楽師。奈良時代から続く楽家(がくけ)の家に生まれる。就社マンだった父の仕事の関係で、幼少期はタイ、メキシコで過ごす。大学で 神道学科で学ぶかたわら、宮内庁式部職学部の楽生科で雅楽を学ぶ。1986年から宮内庁の楽師として活躍する。
1996年にアルバム『東儀秀樹』でデビューする。雅楽器と西洋楽器とをコラボレートしている。
同年に宮内庁を退職し、フリーランスとの活動をスタートさせる。あ楽師長男も雅楽師として活動している。
※東儀親子の動画👇
歌舞伎と楽器
歌舞伎は、江戸時代に発展した大衆芸能で、豪華絢爛な舞台と、芝居、舞踊、音楽が一体となった総合芸術です。歌舞伎で使われる楽器は非常に多岐にわたり、劇の場面や登場人物の感情に合わせて使い分けられます。
- 三味線: 歌舞伎音楽の中心となる楽器です。
- 長唄: 舞踊の伴奏や情景描写に使われ、繊細な音色から力強い音色まで幅広く表現します。
- 義太夫節: 人形浄瑠璃から発展した語り物で、太棹三味線が使われ、物語を劇的に語り、登場人物の感情を深く表現します。
- 鳴物(なりもの): 芝居の効果音や情景描写に使われる打楽器や特殊な楽器の総称です。
- 大太鼓(おおだいこ): 雷や雨、雪などの自然現象を表現します。
- 締太鼓(しめだいこ): 場面転換や人物の登場・退場に用いられます。
- 銅鑼(どら): 寺院の鐘や神秘的な雰囲気を出す際に使われます。
- 拍子木(ひょうしぎ): 芝居の始まりや終わり、重要な場面の区切りを示します。
歌舞伎では、これらの楽器が芝居と一体となり、観客の感情を揺さぶり、物語の世界に引き込む重要な役割を担っています。
日本の伝統芸能は、それぞれの形式に特化した楽器を用いることで、独自の美学と世界観を確立してきました。楽器の音色は、単なる伴奏ではなく、登場人物の心情、情景、そして物語そのものを深く表現する不可欠な要素なのです。
まとめ:日本の楽器の繊細さ、美しさ日本の宝
日本の伝統的な楽器は、その美しさと繊細さにおいて世界中で高く評価されています。これらの楽器は、単なる音を奏でる道具以上のものです。そこには、日本の豊かな歴史、文化、そして美意識が凝縮されています。
日本の楽器は、その演奏を通して精神性を表現する側面も持っています。茶道や華道と同様に、演奏には精神を集中させ、内面と向き合う時間が含まれます。音を慈しみ、音の間に流れる「間」を大切にする思想は、演奏者の心のあり方を映し出し、聴衆にも深い瞑想的な体験をもたらします。
日本の楽器は、視覚的な美しさ、聴覚的な繊細さ、そして文化的・精神的な深さにおいて、私たちに多くの感動を与えてくれます。
昨今日本のすばらしさに世界中から注目され、訪れる外国人が後を絶ちません。
この日本が誇る伝統を守っていきたいと切に思います。